26年度の総務省の調査によると日本でのスマートフォンの普及率は53,5%に及びます。
米国(93,9%)やフランス(94,5%)に比べたらまだ少ないほうですが、 10代では約75%の高い普及率になっています。
従って児童を含めた10代の若者が興味本位に、 出会い系や出会いアプリなどアクセスされるのは容易に想像できます。 その結果、出会いアプリなど簡便に利用できるツールで児童買春などの犯罪が増加しています。
将来を担う青少年少女を健全に育成するためにも、 我々成人が法を守りよい環境を整えていく必要があります。 また自ら犯罪に巻き込まれないためにも「法令」を良く理解し 利用者一人ひとりが注意する必要があると思います。
それでは出会い系サイト規制法の構成や目的、第一章 総則について具体的にみてみましょう。
出会い系サイト規制法は正式には下記のように呼称されます。
「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」
この法律は下記の第一章~第六章と附則から構成されています。
- 第一章 (第一条~第五条) 総則
- 第二章 (第六条) 児童に係る誘引の禁止
- 第三章 (第七条~第十七条) インターネット異性紹介事業の規制
- 第四章 (第十八条~第二十七条) 登録誘引情報提供機関
- 第五章 (第二十八条~第三十条) 雑則
- 第六章 (第三十一条~第三十七条)罰則
- 附則
この法律の目的を次のように規定しています。
(目的)
第一条 この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する 行為等を禁止するとともに、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、 インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、 もって児童の健全な育成に資することを目的とする。
すなわちこの法律の目的は、インターネット異性紹介事業いわゆる出会い系サイトの 利用による犯罪から児童を保護する事です。
つまりこの法律はあくまでも児童を保護するものであり、児童と児童あるいは成人と児童が 性交等の誘引を禁止するものです。 成人同士の利用についてはこの法律の適用外ですが、 成人同士といえども他の法律を犯す行為はしてはいけません!
次ページ以降で、私たちサイト利用者に関係の深い 下記の項目について詳しく見ていきたいと思います。
第一章は第一条から第五条で構成されています。
- 第一条(目的)
- 第二条(定義)
- 第三条(インターネット異性紹介事業者等の責務)
- 第四条(保護者の責務)
- 第五条(国及び地方公共団体の責務)
ここではサイトを利用するにあたり、重要なポイントである第一条から第三条を 押さえておきたいと思います。
条文
(目的)
第一条 この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する 行為等を禁止するとともに、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、 インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、 もって児童の健全な育成に資することを目的とする。
第一条(目的)の解説
第一章の第一条は前頁でも解説したように、この法律を制定した目的になります。
つまりインターネット異性紹介事業での、児童買春などの犯罪から児童を保護する事を目的としています。
私たち18才以上のサイト利用者が注意すべきことは、 いかなることがあっても18歳未満の青少年や少女を相手にしないことです。
後述する「児童でない確認」を行っているサイトであっても、親などの免許証などを悪用して 会員登録をしている児童もいるかも知れません。 サイトで「児童でない確認」をしているはずだ!、という言い訳は通じません。気をつけましょう。
条文
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
- 児童 十八歳に満たない者をいう。
- インターネット異性紹介事業 異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。) を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報を インターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、 かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信 (電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号 に規定する電気通信をいう。 以下同じ。)を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする 役務を提供する事業をいう。
- インターネット異性紹介事業者 インターネット異性紹介事業を行う者をいう。
- 登録誘引情報提供機関 第十八条第一項の登録を受けた者をいう。
第二条(定義)の解説
第二条はこの法律で使用する語句の定義です。
ここで重要なのは「インターネット異性紹介事業」の定義です。
この内容を満たしているかどうかで、この法律が適応されるサイトか、適応されない 単なる出会いアプリなのかということになります。
ここでのキーワードは!
「異性交際とは面識のない異性との交際をいう」と定義されています。 ここで「異性との交際」とありますが、これは性交等だけでなく男女の性に着目したお付き合いであれば 異性との交際に当てはまります。
恋人募集はもちろん異性との交際になりますが、単なるスポーツや趣味、ゲームや音楽などの 性にかかわらないお付き合いは異性との交際にはならないということです。
もう一つのポイントは、「異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする」という点です。
これは当事者同士が1対1で通信できる場を提供するということで、 メールやツーショットチャットが含まれます。
メアドや電話番号の記入の必要のない単なる時系列的な表示のされる、 レス方式のチャットや掲示板はこれに含まれません。
出会いアプリやSNSはこれらの規定に引っかからないようにして、巧妙にこの法律の適用を逃れているのです。
条文
(インターネット異性紹介事業者等の責務)
第三条 インターネット異性紹介事業者は、その行うインターネット異性紹介事業に関し この法律その他の法令の規定を遵守するとともに、児童によるインターネット異性紹介事業の 利用の防止に努めなければならない。
- インターネット異性紹介事業に必要な電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号 に 規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者(次項において「役務提供事業者」という。)は、 児童の使用に係る通信端末機器による電気通信についてインターネット異性紹介事業を利用するための 電気通信の自動利用制限(電気通信を自動的に選別して制限することをいう。 以下この項及び次条において同じ。)を行う役務又は当該電気通信の自動利用制限を行う機能を有する ソフトウェアを提供することその他の措置により児童によるインターネット異性紹介事業の利用の 防止に資するよう努めなければならない。
- 前二項に定めるもののほか、インターネット異性紹介事業者及び役務提供事業者は、 児童の健全な育成に配慮するよう努めなければならない。
第三条(インターネット異性紹介事業者等の責務)の解説
インターネット異性紹介事業者等とは、異性紹介事業者のほかに、異性紹介事業に必要な 電気通信役務を提供する事業者をいいます。具体的には下記の事業者です。
すなわち第2項は、プロバイダーや携帯電話会社においては児童が有する スマホやPCやゲーム機などサイトに接続できる機器について フィルタリング・サービスなどを提供しなければならないというような内容です。
児童をネット犯罪から守るためにも関連事業者の環境整備が必要とされているわけです。 この法律では言及されていませんが、児童を持つ両親においても児童の有するスマホ等については、 フィルタリングの設定を行うのが大人としての責務といえます。
ちなみに平25年の警察庁の調査によると、 被害に合った児童の95%がフィルタリングの設定をしていませんでした。
児童への犯罪防止は第一に親子との対話でしょうか!?
出会い系のみならず、児童を金品にて性交を持ちかけたり斡旋することは犯罪です。
そんなことはわかっているけど・・・別に被害者がいないんだからいいんじゃない?
相手だってお金もらってるんだし・・・
そんな軽い気持ちで児童買春に走る大人もいるかも知れません。
確かに売春しようとするほうも、軽い気持ちなのかもしれません。
そもそも罪の意識を感じていたら、売春などしないでしょう。
しかし、相手は未来ある子供です。
この経験が後々後悔を呼ぶことなど安易に想像できるでしょう。
良い経験として残るわけがありません。
法を守ること以前に、ひとりの大人としての責任があります。
未来を託す子供に、大人が罪をなすりつけることをして良いわけがありません。
こういったことをひとりひとりが意識することによって、 児童買春だけではなく、世の中全体の犯罪防止の改善にも繋がります。
児童買春に心当たりがない人でも、出会い系サイトを利用する上で注意が必要です。